警察一家の娘恋した相手はヤクザの息子でした



期間限定と書いてあるイチゴのアイスのクレープ。スペシャルはバニラとカスタードだ。


……どうしよう。
でも悩みすぎたら大和さんを待たせてしまうし。


いろいろ考えて


「大和さんは決まりましたか?…私はイチゴがオススメです」


と彼に話題を振れば、ジッとメニューを見つめる。




「……お前、どれとどれで悩んでるんだ?」


「え!?」



「目移りしてんだろ」


見透かされていることに、思わずかぁあと赤くなっていった。


大和さんって人のことよく見てるんだな……すごい。


「どっちも買いたいなら買えばいい」


「え、でも…そんなに食べられないです…」


「俺は…お前のオススメでいいから。2人で分ければいいだろ?」



大和さんと…2人で分ける?



なんて素敵な提案だと感動したと同時に、友達になったばかりなのにそんなことしてくれるんだ。と嬉しくなった。



むしろ男友達とそんなことするんだろうか……


でも仲良くなれるチャンスでもある。


そう思って嬉しい気持ちに忠実になり、悩んでいた2つのクレープを買うことにした。




そんな私を見て、大和さんはクスッと笑う



「あ、私…1人で盛り上がってますか?」


「いや、なんかお前犬みたいだなって」

「い、犬!?」


まさかの”犬”に思わず口が開く。



「……いちいちパタパタと尻尾をふってるみたいに見えるんだよな…友達じゃなくてペットみたいだ。」



尻尾……


思わずあるわけないのにお尻を見てしまった。そんな様子にまた彼が笑う。




…友達じゃなくてペット……


確かに…大和さんは面倒見がいいから、友達というよりは保護者に近い気もする……



「ほら、注文しろ」


「あ、は、はい!」


私が店員さんにクレープを頼むと、財布を取り出す前に彼が払った。



「あ、私、お金」


「……いい。ほらきたぞ」


お金を受け取ってくれない大和さんに、スマートな大人だ。と感心して、きっちりとお礼を述べる。



彼はクレープを店員さんから預かると、そのまま私に渡して



「転ぶなよ。ゆっくりな」


とお兄ちゃんみたいな注意をくれた。



………友達になってほしいとは言ったけど、このままじゃ友達にすらなれてない。


「……公園行くか。」




……それでも大和さんの笑顔が見れるならいいかと思ってしまったので、恋って恐ろしいなぁ。