亜紀ちゃんが見えなくなった後、2人で歩き出し大和さんをチラリ。彼もこちらを向いたことでばっちりと目が合った。
「…あ、亜紀ちゃんはいつも私のこと心配してくれるんです。」
「だろうな。気持ちがわからなくもねぇ」
「そ、そうですか。」
「ちょっと銀に似てるなって思ってた。」
クスッと笑った彼に思わずドキッとする。
相変わらず笑った顔が素敵だ。
心臓を持って行かれてしまいそう……
「た、確かに!銀さん大和さんの心配ばかりしてそうですもんね」
「面倒くせぇけどな」
今日も一緒に出かけてるなんて知られたら、絶対に怒られちゃいそうだ。
そんなことを思いながら必死に大和さんの歩幅についていくと、いきなりピタリと彼が止まりゆっくりと歩き出した。
歩幅を……合わせてくれたんだ…
そんな優しさが見えてついつい顔がにやけてしまう。
優しかったり、意地悪だったり色んな大和さんが見れて嬉しい。
隣同士に並んだ高さの違う影を見ながら、大きくなりそうな恋心に不安を覚えた。
……あくまで……友達。
大和さんだって、私にそれ以上の感情なんかないはずだもん。
必死にそう言い聞かせていると
「…変な感じだな」
と彼がポツリと呟く。
「え、な、何がですか?」
「……いや、友達ってのがどういうもんかわからねぇから」
「あ、そ、そ、そうですよね!私も男の人とクレープ食べに行くような友達になったのは初めてで…」
「…そうか。同じだな。」
あ…また笑った
鋭い目つきがふと柔らかくなるこの顔
私はこの顔にとても弱いみたい。
「わ、私イチゴのスペシャルにしようと思うんですが、大和さんは何にしますか?」
少し恥ずかしくなって、思わずクレープの会話に逃げた。
「甘くないやつ……あるか?」
「ありますけど…甘いの美味しいですよ」
「……考えとく。」
会話中も彼が少し歩くのが早くなり、追いつかなきゃと急げば自然に歩幅を小さくしてくれる。
その気遣いに何度も嬉しくなって、ついつい笑顔を送ってしまった。
それから他愛もない話をして、目的に着くと甘い香りが漂ってくる。
「ここです!おすすめのクレープ屋さん!!」
ぜひここのクレープをオススメしたい
と自信満々に言えば、大和さんがヒクッと顔を歪めた。
「どうしましたか?」
「いや…場違いだなと思ってな」
「そんなことありません!!クレープは誰が食べてもいいんです!!」
ピンクの看板のイチゴフェアに目を奪われて、フラフラとお店へ。
「……目がチカチカする……」
大和さんが何か言ったけど、私は決めていたメニューから目移りしていた。
……どっちも食べたい。

