警察一家の娘恋した相手はヤクザの息子でした

そういえばお礼がまだだった……。
佐山くんはなにをすれば喜んでくれるんだろうか。


「えっと…何がいい??」


「俺もクレープが食べたい。」


彼の言ったことに固まってしまう。クレープ?佐山くんもクレープが好きなの??


「でも、部活あるよね。買ってきたらいい?」


「だめだめ!出来立てがいいと私は思う!!期末テストの後は?そしたら部活ないでしょ。佐山」


「あ、お、おお。」


何故だか亜紀ちゃんも会話に寄ってきて、佐山くんがコクコク頷いた。


そうか…佐山くん
意地悪だし、怖いと思ってたけど、クレープ好きなんだ……少しだけ親近感


「ならわかった!覚えてるね!」


「!!絶対だぞ!笹本!」


しかめっ面の顔がいきなり笑顔になり、釘を刺されたので頷いておく。


「あ、そうだ。真子の連絡先佐山に教えていい??約束しやすいでしょ」


「え、全然いいけど、佐山くんが…」

「いや、教えて欲しい!!!約束無くなったら困るし!」



ずっと嫌われてると思ってたけれど、そうじゃないのかな。それともそんなにクレープが食べたいのか……



私が考えていると彼は上機嫌になっていて、ニコリと微笑んだ後


「また連絡するから!」


と友達の輪へ戻っていった。



「なんてわかりやすいやつ……約束したところで、真子は今日男と出掛けるというのに…」


亜紀ちゃんがポツリと何か呟いて、私はその前の椅子に座る。しかしそのタイミングで学校のチャイムが鳴り響いた。



「……真子」


「ん?」

「友達よ。友達。友達だからね」



私が自分の席に戻るよう再び立ち上がると、彼女は真顔でそう連呼する。


「わ、わかってる……」



授業が終われば、大和さんとお出かけ。



楽しみすぎて足が地に着かない。



「…ほんとに大丈夫なのかしら」



亜紀ちゃんの心配をよそに私は、佐山くん同様上機嫌で残りの授業に臨んだのであった。