ガタガタと震える手で通話ボタンを押す。
恐る恐る耳元に携帯を持っていくと
『もしもし?』
なんて大和さんの声が響いた。
電話ってこんなに緊張するものだったかな?
声を聞いた途端すごい勢いで心臓が走ったよ。
「も、もしもし。大和さん……ですか?」
『ああ。昨日大丈夫だったか?』
「は、はい!大丈夫でした!」
他愛ない会話だけだというのに、顔が熱くなってくる。
教室で電話をするなんて恥ずかしいと思い、慌てて廊下に出た。すると佐山くんが亜紀ちゃんの方に寄ってくる。
だけど私はそれをきにすることなく
「大和さんは、今日お暇なんですか?だからクレープを?」
と彼との電話に夢中で本題に近づいていった。
『まぁ別に、銀次から逃げるだけだしな。好きではないけど、別にお前が食ってるのを見るのは苦じゃねぇと思う』
嬉しいことをいってくれる…とおもわず感動を隠しきれなくてついつい顔がにやけてしまう。
「金本……」
「なに?佐山」
「あいつ……振られたんじゃなかったのか?」
「いや、ふられてないわ。このままじゃ、あんた一生報われないからね。」
教室で話す亜紀ちゃんと目があうと、ヒラヒラと手を振ってくれた。
佐山くんは相変わらず不機嫌そうだ。
「あんたって真子一筋なのに、ほんと可哀想」
「え、ま、まさか、か、か、彼氏」
「違う!まだかろうじて違う!だけどこのままじゃ取られるわよ!!!はやく真子を惚れさせろ!アスパラベーコン男子!」
あの2人が話しているときは大体私が聞いていない時だ。だって佐山くんが、睨んでくる上何故だか小声だもん。
「ならほんとに…行ってくれるんですか?」
『ああ……また終わったら連絡するから』
「は、は、はい!!」
電話が切れた後も私は余韻に浸る
まさかこんなにあっさり大和さんとクレープが食べられる日が来るなんて...
教室に戻ると亜紀ちゃんがニコッと微笑んだ
「どうだった?」
「あ、い、一緒にいってくれるって!」
私の言葉に佐山くんが怪訝な表情。
ビクッと驚くと彼は私に声をかけてきた。
「なぁ」
「え、あ、は、はい」
「ゴミ捨てのお礼はいつしてくれんの?」
突然のそんな言葉。私は、え?と固まってしまった。

