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「昨日の出来事は今話した通りです。」


「……はぁぁ。頭が痛い」


翌日、学校で亜紀ちゃんに昨日あったことを洗いざらい話した。


「…私、意地悪な人が好きなのかな……すごくドキドキするの」


「いや、それならとっくに佐山に惚れてるはずだから、そういうわけじゃないの。好きだから意地悪されても許せるのよ。」



確かに……佐山くんも意地悪だ。
でも、大和さんとは種類が違う気がする。





昨日は大変だった。
車を見送った後、その場から動けなくて。
RAINというアプリの友達欄に入った大和さんの名前を、何度も何度も見つめていたし、笑顔を思い出しては心臓が激しくなって叫んでしまいそうだった。


恋をするって…すごい。



「あのね、真子は無防備なの。だから付け入られるの。」


「え、無防備!!?」



『無防備なのは俺の前だけにしろ』



脳内で大和さんがそう呟く。



「だ、ダメだ!私、直さないと。どこが無防備?教えて!亜紀ちゃん!!」



「はぁ…」



私の言葉に、彼女は大きなため息。
そしてすぐさまキッときつく何かを睨みつけた。



「許さないっ!若か何か知らないけど、私の可愛い真子の純潔を狙うなんてっっ!!しかもここまでメロメロ……なんて男なの!?こうなりゃ戦争よ!!」


ドンッと机を叩いた亜紀ちゃんに、周りも驚いている。



「お、落ち着いて」


「友達になるのにキスゥ?おかしいわよ!からかって楽しんでるのね!そりゃ今時真子みたいな女は天然記念物だけどっ!それでも許せない!!」


「あ、亜紀ちゃん…」



声が大きいよ……みんなさっきからキョロキョロみてて恥ずかしい。特に佐山くんとは何度も目があった。



「………ねぇ真子」


「は、はい…」


「本当に”友達”としてやっていけるの?」


「え…」


「間違いなく恋なのよ。その感情は……それを抑えて本当に友達でいられる?」



痛いところを突かれてしまった。
心配そうな亜紀ちゃんに、私はつい口ごもる




間違いなく友達以上の感情だ。そんなの自分でもわかってる……付き合えないのも勿論だ。




だけどそれでも…


「……側にいたいな……友達としてでもいいから。」



私の頭はそればかり。



「…真子……」


亜紀ちゃんは呆れてしまっただろうか。自分のことしか考えてないダメな奴だって。


そんな不安に襲われたけど、彼女は切なげな顔で私を見つめていた。



「わかってる……初恋だもん。頭ではわかってるの……止めても無駄だってことも。だから私わざと、真子に酷なこと言ってる。」


「うん……」


「でもやっぱり、大切な親友の傷つく姿は見たくない。昔から、真子が恋した時は全力で応援するって決めてたけど、相手が悪すぎるわ。」


優しい亜紀ちゃんは、私よりも苦しんでくれている。それが痛いほどわかる。



「大丈夫だよ。ありがとう亜紀ちゃん」



優しい親友に笑顔を送ると、彼女も切なげに笑った。




「辛かったり、悲しくなったら絶対に言うこと。わかった?」


「うん。わかった。あくまで友達として仲良くなるね!!」




そこでふとある疑問がよぎる。


そういえば男の友達なんていなかったから、どう接したらいいのかわからない。



「そういえば亜紀ちゃん……男友達ってどう接したらいい??最終的にはクレープを一緒に食べる仲になりたいんだけど」


「や、ヤクザの息子がクレープぅ?なにそれネタ!?不似合いすぎて笑っちゃう」



私は似合うと思うんだけどなぁ


大和さんとクレープ。