警察一家の娘恋した相手はヤクザの息子でした



私が泣きそうな顔でそう言うと、うっと亜紀ちゃんは言葉を詰まらせる。


確かにわがままだとは思う。
だけどどんな形でも、あの人と接点があれば……


「お願い……亜紀ちゃん……友達……」


「そ、そんな目で見ても…」

「私……このまま終わりなんてやだ……」


「真子……」


こんなことを亜紀ちゃんにお願いしたってどうしようもないのだけど、もう頼れるのは彼女だけ。



「友達でいいの……それ以上は望んでないから」


しつこい私に、亜紀ちゃんの呆れたようなため息が溢れる。


「それで傷つかない?真子は本当に友達で我慢できる?」

「うん。」

「そっか…なら私はもう何も言わない。できる限り協力もしてあげる。」



相変わらず優しい亜紀ちゃんの言葉に、私はギュウウと彼女に抱きついた。


こんなに優しい親友が他にいるだろうか。
反対してくれたのも私のため、いつも彼女は私のためにいろいろ考えてくれるのだ。



「ありがとう!亜紀ちゃん!」


「あー…もう私は真子の涙と笑顔に弱いのよ……」


ポンポンと背中を優しく叩かれて、ゆっくりと亜紀ちゃんから離れたら、困ったような笑顔が目に映る。




そのまま2人で学校へ登校して、教室の中へと入った。




一番最初に見えたのは、楽しそうに友達と話している佐山くん。



あ、昨日のお礼を言わないと。



「佐山くん!!おはよう!昨日はありがとう!!」


ペコっと頭を下げたら、彼はジロッと私を睨んだ後すぐに目を逸らす。




……昨日の佐山くんは幻想?
いや、でもゴミ箱はまだ空だ。



「昨日って何があったの?真子」


「あ、あのね…昨日佐山くんがわざわざゴミ捨てに行ってくれたの。掃除当番じゃないのに。」


ツンツンと制服を引っ張られて、された質問に普通に答えたら亜紀ちゃんは


「なるほどぉ…」


と少し悪い顔。


そのまま、佐山くんに聞こえるように私に話しかけ始めた。



「真子は優しい人が好きだものね!!佐山も優しくしたかったのよ!!」


「え?ど、どういうこと?」


「な、何言い出すんだ!金本!!」



私の時は反応がなかったのに、慌てたように彼は立ち上がりこちらへくる。すると、亜紀ちゃんがそんな佐山くんを確保して端の方に移動して行った。



『バカ佐山!あんたがうかうかしてるから、真子が悪の組織に心奪われるのよ!!純粋な女はね、ちょっと悪い男に惹かれちゃうの!!』


『は、は?なんの話だよ!』


『さっさと素直になって、推しまくりなさい!じゃないとあんた一生片思いだからね!』


『は、はい…』


……何を話してるんだろう


不思議に思っていると、彼女は笑顔で戻ってくる。



「どうしたの?」


「ううん。佐山に喝をちょっとね」


「喝……?」


佐山くん……亜紀ちゃんに何かしたのかな…



「そんなことは良いのよ!仲良くなるって何か作戦はあるの?真子」


「ああ……今日会いに行こうかなって。」



私がそう言うと彼女は見たことないくらい顔を歪めた。