「さてと、…じゃー、どこいこっか」
蓮巳くんが首をかしげながら私に問いかける。
なので。
「………パンケーキ食べたい」
ぬいぐるみで顔を隠しながら要求する。
「ははっ…はいはい。じゃあこの前できたっていうカフェにしようか」
「……いちごシロップ?」
少しだけぬいぐるみから顔を出す。
「たぶんね。ほら、手」
微笑みながら私に手を差し出す蓮巳くん。
その笑顔にドキドキしながらも、私は彼の手を取った。
このときには、家でのことや、父のことなんてすっかりと忘れて。
ただただ、蓮巳くんが好きだということを改めて実感していた。