「話は終わりだ」
さっさと戻れとでも言いたげな父から視線をはずし、私はぼーっとしたまま部屋を出た。
廊下を歩きながらも、頭を過ぎるのは、どうしてという気持ちだけ。
もし、私が銀色だったら?
そうしたら、姉さんが彼と結ばれることができたのだろうか。
いや、まだわからない。
だって私は、蓮巳くんでないと嫌なの。
私が拒否し続けていれば、もしかしたら姉さんが。
……本当に?
自分の部屋につき、中に入ると、襖を背に座り込む。
………本当に…?
あの父が、そう簡単に折れるかしら。
わからない。
わからないよ。
……ねぇ、蓮巳くん。
私、今とても貴方に会いたい。
貴方に触れて、安心したい。
いつの間にか、目からは涙がこぼれていた。
寂しさなのか、悔しさなのか、申し訳なさなのか。
私には、判別がつかなかった。