鮮血が飛び散る。







まただ。







人々の悲鳴が耳を打ち、生あたたかい朱がその身を染める。






我が身を伝う鮮やかな朱に、気持ちが悪くて仕方ない。







耳を塞ごうにも、私に手はない。




目を瞑りたくても、私にはできない。







ただ、剣士の腕が振るうまま、人々を切り裂くことしかできない。





それが、私。






「妖刀がぁぁぁあ!!!」





嫌だ。





妖刀なんて呼ばないで。





呼ばれたくない。




だって、私は。






泣きたくても、私には涙なんてない。







もう嫌だ。






もう、もう誰も傷つけたくないよ。








もう誰も。






私に触れないで。