鮮血が飛び散る。
まただ。
人々の悲鳴が耳を打ち、生あたたかい朱がその身を染める。
我が身を伝う鮮やかな朱に、気持ちが悪くて仕方ない。
耳を塞ごうにも、私に手はない。
目を瞑りたくても、私にはできない。
ただ、剣士の腕が振るうまま、人々を切り裂くことしかできない。
それが、私。
「妖刀がぁぁぁあ!!!」
嫌だ。
妖刀なんて呼ばないで。
呼ばれたくない。
だって、私は。
泣きたくても、私には涙なんてない。
もう嫌だ。
もう、もう誰も傷つけたくないよ。
もう誰も。
私に触れないで。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…