「……私、嫌われてないの?」




未だに信じられない。





そんな私の頬を両手で包み込むと。






「それ、俺のセリフなんだけど」





「…え?」





眉を潜めた蓮巳くんは、ぎゅっと再び私をだきしめた。




「5日も来て、だけど全然会えなくて。こんなことなら何したって家の場所聞き出しとけばよかったって」




耳元で聞こえる彼の声は、なんだか困っているようだった。





「俺に何も教えてくれないのって信用してくれてないからとか言ったけど、…当たり前だよな。俺、珠紀に何もしてやってないし。…素直じゃないし」




フルフルと首を振ると、彼は私の頭を撫でた。






「そう思ったら、この前のだって俺のわがままだし……嫌われたらどうしよう、嫌われてないかなって」





私を抱きしめる腕が強くなる。





彼の独白が、私にはとても愛しくて。





私も彼を抱きしめ返した。



すると、蓮巳くんは。





「………言わなきゃわかんないなら言う。……俺は、珠紀が好き」



「っ、」




「金色の狐が珠紀なら、俺は狐が好きだし、例えば幽霊とかだったとしても」




そのまっすぐな瞳が。





あんまり熱を帯びてるから。





「……私も、好きです」



するりと、言葉がこぼれた。



「…知ってる」




私のおでこに自分のをぶつけると、蓮巳くんはクスっと笑って私を離した。




「…まぁでもなんか、あった時から普通ではないとは思ったよ」






「っえ!?」






聞き捨てならない!!




「な、なんで!?」



戸惑う私を見て笑いながら、蓮巳くんは境内のほうをみた。




「俺さ、珠紀と初めて会った元日の日さ、お願いごとしたんだよね」



顔は境内に向けたまま、視線だけを私に向けた彼は。









「俺を大切に思ってくれる人が欲しいって」






「っ」






なら、蓮巳くんの願いは。





「私が、叶えられたの?」







蓮巳くんは、答える代わりに優しく微笑んだ。