「………そういう、わけじゃ」
蓮巳くんの目が、見られない。
……そう、なの?
私、彼を信用できてないの?
だって、そんな。
妖怪と付き合ってたって知ったら、普通なら逃げ出すでしょう?
私、は…。
「…ごめん」
ぐるぐると悩んでいると、蓮巳くんが歩き出してしまった。
「え?蓮巳くん……」
「俺、今ダメだわ。これ以上いたら絶対傷つけること言うから、帰る」
「…………あ…」
違う。
私、きっと。
私のほうだ。
傷つけたのは、私のほう。
傷つきたくなくて、結局彼を傷つけた。
…………………私。
嫌われてしまったかな。
蓮巳くんは、もう、私を見てくれないかな。
ううん、そんなことない。
蓮巳くんは、きっと。
そう言い聞かせるけれど、いつの間にか流れ出した涙は止まることなく。
ゆっくりと、地面に吸い込まれていった。