有名なファーストフードのお店に入り、未だに遠慮がちな石川くんを先に席に座らせた。そして、飲み物、ポテト、アップルパイを購入して彼のもとに戻る。

「遠慮しないで食べてね。」

「ありがとう。朱里。」

お礼と共に私に向けられた笑顔。それが私には最高の報酬っす。師匠!!

ご褒美をいただいたので、私も席についてすぐにポテトを頬張った。

小腹すいてたから丁度良かったなぁ……あ、折角だしこの服と下着を買った意図を聞いてみよう。

そう思って、相変わらずコーヒーを飲む姿が絵になる彼に

「あの……この服を着るのってなんの修行になるの?」

と質問を投げかける。

すると石川くんは、ニコリと微笑み口を開いた。

「女の子って見た目が草食系なのに中身は肉食系みたいなギャップに弱いでしょ?」

「ああ!!どの時代もギャップ萌えは、あるものね!!」

「男も勿論そうだから、それと同じ原理を狙ってる。清楚な格好してるのに下着はものすごくセクシーだなんて男はかなりそそられるよ。」

「そ、そうなんですか。」

うん。師匠のいうことは妙に説得力がある。だけど、私の頭ではそれがどう不感症に繋がるのか全くわかんないや。

「なんかモテる女講座みたい。」

それで私の身体……治るのかな?

いまだに繋がりが見つけられなくて考えこんでいたら、石川くんにジッと見つめられた。

「あきらかに下心のある異性からの視線を受けたことはある?」

「え、な、何ですかそれ……」

「朱里をみて色っぽいなぁって思ってる奴らに見られて欲しいんだよね。」

「で、でも、私…そんなに可愛くないし…見られるかどうか。」


確かに男の視線を集められたらすごいけれど、私別に可愛くないし…石川くんの期待に応えられないかもしれない。


そう思っていたら

「……朱里の身体ものすごく色っぽいと思うけどね。」

と射るような視線に捕らえられてしまった。


「え、ほ、ほんと?」

「童顔なのに胸も意外に大きいし、俺の選んだ服着れば大丈夫」

「師匠に言われたら自信でます!!!」


そうか…そうかそうか!
見られたらいいんだ!
見られ…たら?え?なんで?

再び悩みだした私に彼はクスッと笑う。そして詳しい説明をし始めた。

「…触ると身体は怖がるし視線ならなんともないかなって。自分の格好に男がみんないやらしいこと考えてる想像してみて。興奮しない?」


ゾワゾワと背筋に何か走った。

男の子がみんな……私で妄想するの!?やだ!!妄想出演料取っちゃうぞ!なんて…逆に取られそうだな。


しかしそこで一つ湧き上がる疑問

「服着てたら下着見えないよ?あ、脱げばいいですか!?ストリップ!?」

「いや……朱里それしたらただの変人だからね」

「……これも試練だと思って……」

「そんなエロ漫画みたいな要望しないから。」


じゃあどうするの?と首を傾げたら、石川くんは一本ポテトを食べた。そしてゆっくり口を開く


「今日買ったの前ボタンの服でしょ……?それって案外ふとした瞬間見えるんだよね。そして白に近い色はなんのために選んだと思う?」


問うように向けられた言葉に考え込んで、今日買った下着の色を思い出した



紫と……黒……


これって透ける!!


全てを理解した私に気付いた彼は、口元についたポテトの塩を親指で拭ってとても色っぽい視線で見つめてきた


「明日はいっぱい見つめられたらいいよ。それが修行」

優しいはずなのにとても挑発的な石川くんの顔。なんだか色っぽくて命令されてるような感覚なんですけど。

とんでもない色気を師匠から感じた私はひどく興奮を覚えた。


何だろうこれ。震えてる。


「明日朝見せに来てね。」

「も、もちろん!」

「俺も楽しみにしてるよ。朱里」

「あ、わ、私もです!」


なんかまたゾクゾクしてきた。ものすごくゾクゾクするっ!!


そんな与えられた修行にもう緊張しつつ、身体を落ち着かせるためにポテトを口に運んだ。


色っぽい顔の作り方みたいなの調べて勉強しとこっと。