石川くんが固まって数秒。やっと反応が返ってきた
「……俺が思ってる興奮と違う」
「え!?違うの!?私は好きなアーティストのライブを観に行ったような興奮をしてるよ!!」
精一杯のドヤ顔でグッと親指を立てると、ゆっくりと石川くんが離れる
…あれ?なんか頭抱えてるように見えないこともない。
「……反応が斬新すぎて骨が折れそうなんだけど」
「え!?添え木をすぐに!!」
「…ふふ…そう言うとこもね。変わってる……」
確かに大ちゃんにはよく
変な奴だな
と言われたけれど……まさか天下の石川くんにも言われるなんて。
いや、まてよ。人とは違うということかな?なんとありがたいお言葉。
「お褒めに預かり光栄です。えへへ」
照れている私をみながら石川くんはクスクス笑っていた
「……しかしまぁ面白いのはいいことだけど、私もされたいとかしてほしいとか朱里にはそういう感情がないのかな……これは一筋縄じゃいかないみたいだね」
「え!?私が変わるなんて無理ってこと!?石川くんみたいな変態の仲間になれないの!?」
「いや無理と断言はしないけど中々難しいかもね。ってか俺のことそんな風に思ってたんだ。びっくりだよ」
「えー!ショック!!師匠みたいにムフフな感性が豊かになりたいよー!!」
がーんっと大袈裟に悲しみを表したら、プッと吹き出されそのまままた笑われてしまった。
「……っ…ハハっ…ほんとに変だねっ……!」
「えー!笑うほどなの!?」
「うん。会ったことないタイプだから新鮮で飽きないかな。」
何故だろうか
笑われてるということは、バカにされてると考えてもおかしくはずなのに、石川くんのこの笑顔は私的に美味しい。
ごちそうさまです。
そのままボーッとしていたら、突然髪に触れられて優しい笑顔が向けられる。
「だけどそんな朱里が目覚めちゃうのは俺的にはすごく楽しみかな」
「め、目覚める?」
そしてそっと触れられてた髪が解放され、パラパラと順序良く元の場所へと戻っていった。
「治ったらお礼はちゃんともらうよ?」
冗談なのか本気なのかわからない言葉を聞いて、私は思わず髪から離れた彼の手を握りしめる。
「もちろん!!お礼に私が働いてる居酒屋でご飯奢るよ!!!」
「……え」
「美味しいよ!なんでも食べてね!!」
「お礼の意味を取り違えたようだけどありがとう……。朱里にはこういうのも効かないみたいだね。」
お礼の意味?
と考え込んでもなんにも理解できなくて。
そうこうしてるうちに石川くんはいきなりマジマジと私の服を見つめていた。
「ど、どうかしましたか?」
「今日これからの講義のあと時間ある?」
「え、バイトもないし暇だよ」
「服と下着を買うお金は?」
「あ、あります!給料入ったばかりだし!」
「そう。なら講義が終わったら連絡して」
へ……
とびっくりする私にスマホを取り出すよう指示し、メッセージアプリのIDを教えてくれる
まじか。
住む世界の違う大学一のイケメンと連絡先交換しちゃったよ。
ってか連絡してってどういうこと!?
色々聞きたいことが山々だったのだけど、うまく言葉がでなくてジッと固まっていたら彼の声が耳を刺激した
「これからちゃんと一緒に解決法を探してあげるから、一つ約束して。」
「や、約束……?」
「俺と女の子が二人きりでいるときは、二度と後はつけないこと。大体することは一つだしね。」
「え、えええええ!!だめなの!?」
「だーめ。」
まさかの禁止令。まぁたしかに自分でも悪趣味かなとは思ったけど。はっきり禁止されると切ないのが人間である。
「グスン……ショック」
がっくりと肩を落とすと
石川くんは私を真っ直ぐと見据えて
「約束破ったら……とことんいじめちゃうよ」
なんとも色っぽい声色で私の頬にソッと触れた
こ、これは!!
フェロモンMAX!!!
「わ、わかりました!師匠!」
「うん。いい子。聞き分けのいい子は好きかな」
ご褒美と言わんばかりに石川くんはポンポンと頭を撫で、そのまま背中を向けた。
「それじゃあまた後で。必ず連絡ね」
そしてスタスタと去っていってしまう
なんていうかさ。もうさ…石川くんがすごすぎて鳥肌が止まらない!!!!
私の希望の星!!連絡ということは一緒にでかけてくれるんですね!楽しみにしてます!!!

