これを聞いたジェミラス以下数人の部下たちは、腰にある長剣に素早く手を伸ばす。

だが、アークは余裕顔で腕を組み、楽しげに少年を見ていた。

「お前のお陰でこのニザームは死の都だ!」

少年はアークに向かって声を上げる。

「それで、私を殺すと?」

アークは少年の目を見てフッと馬鹿にしたように笑う。

「そうさ」

殺気に満ちた声でそう言うと、少年は衣の下に隠していた短剣をさっと取り出し、またアークに襲い掛かった。

周囲の部下はすぐに反応出来なかったが、当のアークは少年の行動に驚くこともなく少年から短剣をいとも簡単に奪って、それを少年の喉元に向けた。

「あっ……」

少年は思わず声を上げ、自分の喉元に向けられた短剣を凝視しながらゴクリと息を呑む。