ジェミラスはこの少年の両手を押さえて問い質す。

「何故アーク様を狙った?お前は何者だ?」

少年は激しく暴れながら、ジェミラスに食って掛かった。

「お前などに用はない。俺はアーク王に用がある」

アメジスト色の目をした少年は、近くにいるアークに目をやるとキッと睨み付けた。

ふたりのやり取りを面白そうに眺めていたアークはジェミラスに声を掛けた。

「ジェミラス、そいつを放してやれ」

アークの命令にジェミラスは渋々この少年を放す。

「ひとりで敵の懐に入り込むとは大した度胸だ。それに、この悪魔とも異名を持つ私に用とは一体何なんだ?」

アークは口元に笑みを浮かべながら少年を見据える。

「あんたの命さ」

憎悪に満ちた目で少年が答える。