少年の頬がじわじわと赤く染まる。

その様子を見ていたジェミラスはどこか違和感を感じた。

「自分に甘えるのもいい加減にするんだな。私は命の安売りを強要した覚えはない」

呆然とした顔でアークを見る少年を見て、アークは吐き捨てるように言った。

「……煩い」

少年は悔しそうにギュッと唇を噛み締めながら拳を握る。

そんな彼を冷ややかな目で眺めると、アークは彼に言い放った。

「去れ!お前のような坊やに用はない。私を狙っておいて命があるのは奇跡だ。ここは変なプライドなんか捨てて私の前から姿を消すんだな」

アークの部下の前でコケにされ、少年の心が再び憎しみで支配される。

少年のアメジストの瞳は怒りで赤に変化していた。

だが、どんなに足掻いてもアークを殺すのは不可能だと少年は思い知ったのだろう。

「……覚えていろよ!俺を殺さなかったことを今に後悔させてやる」

少年は捨て台詞を吐いて何万もの兵の中を堂々と走り去っていった。