ジェミラスは、五年前の自分にこの少年を重ねた。

「お前の元で働くくらいなら死んだ方がマシだ!」

少年は声を荒げると、アークから顔を背ける。

「断固として私に逆らうということか……」

独り言のように呟いて、アークは自分の鞘から剣を抜いて少年に向かって投げる。

カランという音がして少年の足元に剣が転がった。

「アーク様、気でも狂われましたか?」

さすがのジェイクもアークの突飛な行動に目を丸くした。

「心配することはない。私は正気だ。お前たちは手を出すな」

「ですが……」

アークの命令に納得出来ないジェミラスは、彼を止めようとするも一喝された。

「黙れ!」

アークの逆鱗に触れるのを恐れ、彼の部下たちはみんな黙り込む。

「さあ、坊や。その剣を拾って私を殺してみるんだな」