オレンジ・ドロップ



響が呆れ顔で燿にそう言ってくれて、少し安心した。


「だ、だよね!もっと言ってよ。燿のやつ、ほんとおかしい――……」
「まぁ、おもしろいからいいけど」

便乗して燿の行動を非難しようとしたら、響があたしを見下ろしてニヤリと笑うから、愕然とした。

おもしろい……?

おもしろいって、何……?


「じゃぁ、ふたりでごゆっくりー」

からかうようにそう言って、響があたしの頭をくしゃりと撫でていく。

何なの。燿だけじゃなくて、響もおかしい。

兄弟揃っておかしい。

歩き去っていく響の後ろ姿を茫然と見送っていたら、燿に右手をぎゅっとつかまれた。


「帰ろう、柑奈」

さっきまで爽やかな笑みを浮かべていたはずの燿が、前を睨んで不機嫌な顔になっている。


「どうしたの、燿。帰るけど……とりあえず、手は離してもらえる?」

「うるさい。教室の前でちゅーされたくなかったら、黙ってこのままついてきて」

つかまれた手を自分のほうに引き寄せながら抵抗すると、なぜか怖い目をした燿に横目でじろっと睨まれた。


「あ、えっと……はい?」

突然の燿の負のオーラに圧倒されて、あまり納得できないままに頷く。

繋がれた右手は、そのまま燿の家の前に着くまで離してもらえなかった。