「帰らないよ。約束もしてないのに、燿が勝手に来たんだもん。それに、今日は彩音と奈津と一緒に、放課後遊びに行く約束してたし――……」
「柑奈ー、まだー?」
彩音と奈津と話してたら、廊下から燿のよく通る大きな声が聞こえてきた。
「柑奈、呼ばれてるよ」
彩音が燿のほうをチラ見して、ニヤッと笑う。
「き、気のせいだよ」
燿のほうを見ないようにして無視していたら、さらに大きな声が聞こえてきた。
「柑ちゃーん!帰ろう」
「ほら、やっぱり呼ばれてるよ?」
彩音同様、燿のほうに視線を向けた奈津がやっぱりニヤッと笑う。
「だから、気のせい――……」
「柑ちゃーん。無視するなら、俺がそっちにちゅーしに行くよ?柑奈が腰抜かすくらい激しいやつ」
「ばっ……!!」
だけど燿が大きな声でそんなことを言い始めたから、あたしは勢いよく燿のほうを振り向かなければいけなくなった。
真っ赤になったあたしに、教室に残っていたクラスメート達のからかうような視線が集まる。



