「それは、梨里の帰りが遅かったからでしょ?」
「それもあるけど」
鏡越しに視線が合うと、梨里が肩を竦めて少し照れくさそうに笑った。
昨日、梨里は夕飯が終わってあたしがお風呂から上がってもまだ帰ってきていなかった。
お父さんもお母さんも、響が一緒だからって梨里の帰りが遅いことを特に心配はしてなかったけど。
梨里は、響とのデートを夜遅くまで目いっぱい楽しんだらしい。
頬を赤らめている梨里を鏡越しにじっと見ていると、それに気づいた梨里が小さく咳払いした。
「あたしのことはどうだってよくて、今は柑ちゃんの話だよ。昨日遊園地で柑ちゃんが響に連れ回されてるあいだ、燿があからさまに不機嫌で大変だったからね」
「へぇ」
でも、ジェラート屋では、梨里と燿、ふたりで楽しそうにしてたじゃない。
そのことを思い出したら、なんだか胸がもやもやとしてきた。
少し不満気な表情を浮かべていると梨里がふふっと笑う。



