「だって、柑奈よりりぃの方が可愛いじゃん」
「は?それは燿の好みの問題でしょ」
「一般論だって」
人が落ち込んでるのに、いろいろと腹がたつ。
「あー、そうですかっ!もういい。さよーなら!」
苛立った声でそう言って、燿に背を向ける。
「柑奈、怒ったの?」
後ろから呑気な声がしたけど、聞こえないフリをして走った。
何だよ、燿のやつ。
昔はあたしのこと、「柑ちゃん」なんて呼んでついてきて。
もう少し可愛げがあったのに。
失恋の傷口に塩塗るような生意気な男になりやがって。
響とは大違いだ。
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