「早くしろ」とばかりに燿の目に無言で訴えられて、覚悟を決める。
ほんの一瞬。それだけ耐えればいいんだ。
ここまで何十分も恥ずかしい目に晒されたんだから、もうどうにでもなれ。
半ば自棄気味に目を閉じると、燿の首に腕を回して唇にチュッとキスをする。
すぐに離れて目を開けると、燿が驚いたように目をぱちくりと瞬かせた。
「ちゃんと口にできるなんて、柑奈にしては上出来じゃん」
だけどすぐに燿が悪戯っぽく口角を引き上げながらそう言ったから、途端に身体中の血液がすごい勢いで駆け巡って、顔が熱くなった。
え、あたし、何か間違えた……?
「だって、キスしろって言うから……」
そう言われたら、口以外どこにするのが正解だったの……!?
「柑奈のことだから、せいぜいほっぺにチューくらいかなと思ってたけど。いいよ、許してあげる」
焦るあたしの顔を覗き込む燿は、なんだか機嫌がよさそうですごく満足気だった。



