オレンジ・ドロップ



「俺、こう見えて、今すごい怒ってるから」

「どうして?」

「俺のこと嘘つき呼ばわりしたことと、『大キライ』って言ったこと」

「え……」

「謝ってキスしてくれないなら、絶対降ろさない」

そう言って、燿がツンと顔をそらす。

子どもみたいな態度をとる燿を困った顔で見つめていると、燿があたしの反応を窺うようにチラ見してきた。


「謝る?」

「謝る、だけなら」

「ふーん」

キスのほうを拒否したら、またツンと顔をそらした燿があたしを抱きかかえたまま歩き出す。


「え、ちょっと。だから、謝るって。恥ずかしいから、ほんとに降ろして!」

叫びながら本気で暴れたら、燿が立ち止まって迷惑そうな目であたしを見てきた。


「恥ずかしいのはどっちかっていうと、さっきから大騒ぎしてる柑奈」

「だって、燿が――……」
「そろそろキスする気になった?」

燿があたしの顔を覗き見ながら、不敵な笑みを浮かべる。