だけど燿はそんなのお構いなしで、あたしを抱き上げたまま歩き始めた。
周囲にいる人たちが、あたしたちをチラチラと見てくる。
たまに指を指されているのがわかって、顔から火が出そうなくらい恥ずかしかった。
「燿!お願い、ほんとに降ろして!」
叫んで懇願したら、しばらくして燿が立ち止まる。
「そんなに降ろしてほしい?」
訊ねられて大きく頷いたら、燿が何か企んでいるような顔でにやりと笑った。
「降ろしてほしかったら、キスして謝ってよ」
「ばっ、キス!?」
だけど燿が出してきた交換条件があまりに突拍子のないものだったから、つい大きな声を出してしまった。
あたしの大声のせいでさらに周囲が集まってしまい、顔を上げていられないくらい頬が熱くなる。
こんな人のたくさんいるところで何言ってるんだ、こいつ。
おかしい。絶対おかしい。
真っ赤な顔で睨むと、燿がふと真顔になった。



