燿の困った顔を見て、あたしはみんなから離れてひとりになりたくなった理由をようやく自覚した。
あぁ、そうだ。
あたし、幼なじみの三角形から外されてるってこと以上に、燿が本当は梨里を見てるかもしれないってことに気がついて悲しかったんだ。
響に振られたあとに燿がくれた「好き」の言葉や、からかわれてただけかもしれないキスに困惑しながらも、いつの間にか燿にドキドキさせられている自分がいたから。
ずっと響のことが好きだったから、短期間でその気持ちを揺らがされたことを認めるのが怖かったけど。
あたしに向けられた燿の想いは嬉しかった。
だから、それが嘘かもしれないと思って傷付いたんだ。
燿は、どうしてあたしが好きだなんて嘘ついたのかな。
あたしを響から遠ざけるため?
あたしが響を好きなままでいたら、幸せそうな梨里が傷付くとでも思った?
だとしたら、燿の作戦は成功だよ。
あたし、響への未練は捨てられそうなんだもん。



