オレンジ・ドロップ


キンキンに冷えた缶の蓋を開けて勢いよく喉に流し込むと、炭酸のピリピリとした感触が疲れた身体に沁みた。

一気に飲み終えてしまったあとは、なんだか立ち上がる気力が失せて。空き缶を持ったままぼんやりとしてしまう。

あたりに響く絶叫や楽しそうな笑い声を聞きながら、あたしはひとりで疎外感を覚えていた。

ここの遊園地にある絶叫マシンはほぼ制覇したから、あたしはもうきっと、響からしたら御役御免だ。

ジェラートを食べ終わったあとは、響は梨里と一緒に遊園地を楽しむんだと思う。

じゃぁ、今まで梨里と一緒に楽しそうに過ごしていた燿は……?

一応、ダブルデートなんていう名目で連れてこられたあたしと燿だけど。

燿はこのあと、あたしと一緒に遊園地を回りたいかな。

ジェラート屋での、梨里を見る燿の優しい目を思い出す。

燿はあたしのことが本気で好きだなんて言ってたけど、結局最後はあたしをからかうような態度を示すばかりで。

あんなふうに、優しい眼差しを向けてくれてたことなんてないような気がする。