実際のところは、連れまわされすぎて疲れたんだけどね。
だから、ちょっと休憩したい。あとは、ちょっとひとりになりたい……かも。
「あたし、ちょっとトイレ行ってくるね」
みんなに笑いかけながらそう言うと、梨里が椅子から腰を浮かせた。
「トイレ、ここからちょっと離れてるよ。一緒に行く?」
訊ねられて、小さく首を横に振る。
ありがたいけど、梨里が一緒だったらなんだか今より気分が落ち込んでしまうような気がした。
「大丈夫。すぐ戻るから、ジェラート食べてて」
立ち上がろうとする梨里を手で制すると、あたしは速足でその場を歩き去った。
ジェラート屋の前にある看板を見ると、トイレのマークはここから左方向になっている。
それをちらりと確認しながら、あたしはトイレとは反対方向に向かって歩いて行った。
そっちに、日陰のあるベンチと自動販売機が見えたからだ。
ジェラート屋から少し歩いた場所にある自動販売機で炭酸飲料を買って、どかっと重たい音をたてながらベンチに腰を落とす。



