あたしのことが好きだなんて、本気なのか冗談なのかわからないことを言っていた燿だけど……
梨里とふたりでいるときの燿は、とても自然体で幸せそうだ。
やっぱり、なんだかんだ言って、燿は梨里が好きなんじゃないの……?
梨里の隣で嬉しそうに笑う燿。その笑顔を見つめるあたしの胸が、鈍く疼いた。
「あ、いたいた」
あたしより少し遅れてふたりに気付いた響が、彼らに向かって大きく手を振る。
「梨里」
響が呼ぶと、すぐに顔を上げた梨里がきょろきょろあたりを見回す。
その目が響の姿をとらえた瞬間、梨里の表情がぱっと華やいだ。
「あ、響、柑ちゃん」
手を振る梨里より少し遅れて、燿がこっちを振り向く。
その瞬間、さっきまで梨里と楽しげにしていた燿から笑顔が消えた。
無表情になった燿は、何だか怒っているみたいに見える。
もしかして、梨里とふたりで楽しく過ごしてたところに、あたし達が戻ってきて邪魔だった……?



