いまさらだけど、あたしの響への告白は本当に彼の心にこれっぽっちも響いてなかったんだな。
今の言葉を聞いて、それが本当によくわかった。
あー、しょうがない。
もう本当に、まだわずかに心の片隅に残っている響への未練も捨ててしまおう。
幼い頃からの恋心を捨て去るように、響の前で深いため息をつく。
それを見た響が訝しそうな表情を浮かべながら、あたしの頭をぽんっと撫でた。
人がせっかく未練を捨てようとしているのに。
こういうことを何の気なくやってくる響が嫌だ。
軽く唇を噛みながら恨めしげに顔を上げると、響がじっとあたしを見下ろしていた。
「な、何?」
響があたしの頭に手をのせたままにっと笑う。
「あと、俺は燿の気持ちも信頼してるから」
「燿の気持ち?」
首をかしげると、響が満足そうに頷いた。
「たぶん、あいつ結構本気」
「本気って?」
「さぁ?」
響が口角を引き上げてニヤリと笑う。
あたしを揶揄うような意地悪なその笑顔は、捨てようとしてる恋心をほんの少し揺らがずくらいにやっぱりかっこよかった。



