オレンジ・ドロップ



困って左右を見ると、響は不機嫌そうな顔をした燿のことを愉しそうな目で見ていた。


「ほとんどのアトラクションがふたり乗りだし、3人で並んだらひとり余るけど?」

「じゃあ、響が余れ」

わざとらしく首をかしげる響を燿が睨む。


「ていうか、何考えてんの?兄貴」

「別に何も?」

燿を揶揄うように笑う響は、あたしから見てもちょっと変だった。


「俺らがアトラクション並んだり乗ったりしてる間、りぃはどうすんだよ」


燿があたし達のやり取りを笑顔で見守っている梨里にちらりと視線を向ける。


「大丈夫。あたしはその辺で適当に待ってるから、みんなで行ってきていいよ」

「そんなの、お前つまんないじゃん」

呑気にふわーっと笑った梨里に、燿が不服そうな視線を向ける。


「そうだよな。梨里ひとりにしてたら変なやつにナンパされないか俺も心配だし。燿、俺が柑奈とあれ乗ってくるから、お前は梨里と待ってろよ」

「は?」

響が笑いながら言うから、あたしと燿の口から同時に驚きの声が飛び出した。