「柑奈、一緒にあれ乗ろう」
遊園地に着くとすぐ、響があたしの腕を引っ張ってきた。
にこにこ笑いながら響が指差したのは、ここの遊園地で一番人気の絶叫マシン。
足がぶらぶら浮いたままで、半回転したり一回転したりして高速走行するジェットコースターだった。
「いいけど……」
いきなりこれ?
梨里、最初から全く乗れないよね……
一応名目はデートなのに、あたしがいきなり響と乗り物乗るなんて。
それでいいの……?
疑問に思いながらちらっと梨里を見る。
「うわー、怖そう」
梨里は、斜め上空を高速走行するそのジェットコースターを見上げながら呑気に笑ってた。
「柑奈、並ぼう」
彼女の梨里のことは気にならないのか、響があたしの手をぐいぐいと引っ張る。
それに気付いた燿が近づいてきて、響に引っ張られているのと反対の手をぎゅっとつかんだ。
「柑奈が行くなら俺も行く」
響と燿に左右から引っ張り合われるようなおかしな状況になって、ものすごく困惑する。



