オレンジ・ドロップ





日曜日。

朝からやたらテンションの高い梨里に引っ張られて家を出ると、何だか機嫌の良さそうな響と何だか不機嫌そうな燿が並んで立っていた。


「どうして俺と柑奈が響とりぃのデートに付き合わないといけないんだよ。ふたりで行けば?」

「まぁ、たまにはみんなで出かけるのもいいだろ」

不満そうに愚痴をこぼす燿に、響がにこにこと笑いかける。


「で、行き先は?」

「遊園地」

ため息まじりに燿が訊ねると、響と梨里が息ぴったりでそう答えた。


「遊園地?」

それを聞いたあたしと燿が、今度は同時に眉を顰める。


「何で?りぃ、絶叫系ダメだろ。それに昔から乗り物酔いするから遊園地苦手じゃん」

燿の言葉に、あたしも同意するように頷く。

丈夫なあたしは、これまでほとんど乗り物酔いなんてしたことないし、絶叫系の乗り物も大好き。

だけど、梨里は自宅の車も薬を飲まないと酔っちゃうくらい乗り物に弱い。

さすがに中学から電車通学してるから、電車に乗るのにはだいぶ慣れてきたみたいだけど。

学校に通い出した最初の頃は、満員電車で立ってても酔っちゃうくらいだったのだ。