「いいよ、打ち明けてくれてありがとう」
気持ちは沈んだままだけど、頑張って顔をあげて梨里に笑いかける。
そんなあたしに、梨里がにこりととびきりの笑顔をむけてくる。
梨里は可愛い。響が好きになるのも仕方がない。
「よかった。柑ちゃんと話できて。じゃぁ、あたし先に行くね。駅前で響が待ってるんだ」
そう思った矢先、梨里が嬉しそうに響の名前を口にするからやっぱりすごく傷付いた。
自分がすっきりしたら、あたしのことは置いてさっさと響のところに行くんかいっ。
あたしの心のつぶやきをよそに、満面の笑みを浮かべた梨里が手を振りながら走り去っていく。
「あ、柑ちゃん。燿のこと、よろしくね」
ふと思い出したように途中で立ち止まった梨里が、振り返ってにまりと笑う。
なんで、燿……?
それだけ言って走り去っていく梨里の背中を見送りながら、あたしは横に傾けた。



