「これ、最新刊持ってたんだ?うちは響がまだ買ってないんだよねー」
燿が取り出したのは、数年前から梨里とともに連載を追っかけてる少年マンガ。
それを開くと、ベッドから持ち出したあたしのお気に入りのクッションを枕にしてごろんと寝転ぶ。
「読んでもいいけど座ってよ。人の部屋でくつろぎすぎ」
文句を言ってみるけど、既にマンガに夢中になっている燿にあたしの声は届かない。
もしかしたら、わざと聞こえないふりをしてるのかも。
いくら幼なじみだからって、先輩への敬意がなさすぎる。
「燿、起きて」
膝立ちでそばに立って、燿を見下ろす。
それでも燿は、仰向けでマンガを読み続けていた。
その態度にさすがにイラっとして、寝転んでいる燿の右手首をつかむ。
「いたっ……」
その瞬間、燿が小さな悲鳴をあげて表情を歪めた。
軽く上にあげられていた燿の腕がストンと降ろされ、マンガが床に落ちる。



