数秒重なり合った唇が離れると、至近距離で燿と視線が絡み合う。


「い、ま……」

キスした……!?

混乱状態のあたしを、燿が少し不満そうに見下ろす。


「柑ちゃん。その話、つまんないからもういいや」

「つまんないって、何が────」

唇の端を悪戯っぽく引き上げたかと思うと、燿が顔を近づけてきた。

避ける隙も与えられないままに、また唇が重なる。

一回、二回と唇を強く押しつけられる度に、肩から力が抜けていく。

何度目かのキスが終わって燿の唇が離れたとき、あたしはいつの間にか目を閉じていた。


「柑奈さぁ……」

ひとりごとみたいに小さくあたしを呼んだ燿の声が掠れる。

目を開けると燿がふわりと綺麗に笑うから、一瞬息の吸い方を忘れそうになった。

だけど……


「キス、すげー下手」

「なっ……!」

あたしを見下ろす燿の目が悪戯っぽく輝いている。

からかわれた……!?

そう思ったら、燿のキスに高揚してうっかり目を閉じたりした自分がものすごく恥ずかしくなった。