オレンジ・ドロップ


何それ。

鼓動がドクドクと速くなって、頭に血が上る。

何なの、それ。

小さい頃から4人でずっと一緒にいたはずなのに、何も知らなかったのはあたしだけなの……?

あたしだけ、バカみたいだ。

ただ、ずっとひたすら響だけ想って。響だけ見て。

それなのに、気持ちが通じ合うことと想った年月とはまるで無関係で。

そのうえ、初めからずっと蚊帳の外だったなんて。

ほんと、バカみたい。

唇をキュッと噛み締めたとき、目の前で微笑んでいた燿の瞳が、突然戸惑ったように揺れた。


「柑、ちゃん……?」

燿にそう呼ばれて気づく。

いつの間にか、あたしの両頬を涙が伝ってた。

泣き笑いしながら、両手で涙を拭う。


「ごめん。その話、つまんないからもういいや」

何とかそれだけ言葉にすると、燿に背を向けて保健室とは反対方向に走った。


どうしよう。

心の中がぐちゃぐちゃだ。

とりあえず、どこかでひとりになって落ち着かなきゃ。