「ど、どれ?どんなふうに捻ったの?これ、絶対湿布必要?ヒガシ先生、遅刻に厳しいんでしょ?だったら、今から教室戻ってもう少し様子みたほうがいいんじゃない?」
燿の手首を気にかけるようにしながらも、さりげなく保健室から遠ざかるように促す。
だけど、燿はあたしを見て不思議そうに目を瞬くだけだった。
「捻ったの、2時間前の体育。もうだいぶ様子みてるけどやっぱ痛いし。それに、ヒガシ先生にはちゃんと許可とってきてるから平気」
「あ、そ、そうなんだ。でも、わざわざ保健室まで行かなくても、水道で冷やすだけでもいいんじゃない?ほら、その先トイレだしさ」
保健室とは反対方向を指差すと、燿がにやりと笑った。
「柑奈の態度、何か変。俺に保健室行かせたくない理由でもあるの?もしかして保健室で誰かがイチャついてたとか?」
からかわれてるんだって頭ではわかってた。
だけど、燿の言葉につい反応して赤面してしまう。



