燿が首を傾けてあたしの顔を覗き込んできた真っ直ぐで綺麗な燿の瞳に、心の内まで見透かされそうでドキリとした。
「そんなことないよ。それより、燿こそ早く教室戻れば?英語のヒガシ、遅刻に厳しいんでしょ」
早く離れたくてそう言うと、燿がきょとんとした表情を浮かべた。
「柑奈、何で次が英語って知ってんの?しかも、遅刻に厳しいことまで。ヒガシ先生って、2年も担当してたっけ?」
「えっ……と、それは……偶然だよ、偶然!そうかなぁ、って思って言ってみただけ」
「ふぅん」
あまり納得のいっていない顔で頷いてから、燿があたしに右手をあげて見せた。
「さっき体育でバスケやってたんだけど、変なふうにパス受け止めて捻ったみたい。痛くなってきたから、湿布もらいに保健室行くとこ」
「保健室……?」
その言葉に、今さっきそこで目撃したできごとが脳裏に蘇る。
今保健室に行くなんて、絶対マズい。



