保健室につくと、ドアにかわいいイラストが描かれた手作りのプレートがかけられていた。
『すぐにもどります』
保健の先生が席を外しているときは、そう書かれたドアプレートがかけられている。
先生、いないんだ。
でも響はまだ教室に戻ってきてないし、休んでるはずだよね。
ドキドキしながら引き戸に手をかけて少し開いたとき、中から話し声が聞こえてきた。
「ねぇ、響。あたし、そろそろ戻っていい?」
あれ。響、誰かと話してる?
聞こえてきたのが女の子の声だったから、ドキリとする。
開いたドアの隙間から中を覗くと、閉じられたベッドの仕切りカーテンの下から、女子生徒の足が見えていた。
「えー、もう行くの?」
「だって、授業始まるもん」
「えー、頭痛いって言ってんだから、もうちょっといてくれてもよくない?」
カーテンの向こうから聞こえてくるのは響の声。
それがあまり響からは聞いたことのない甘えたような声だったから、ドクンと大きく鼓動が鳴った。
仕切りカーテンの向こうに響と一緒にいるのは、たぶん彼女だ。



