「柑奈、どうしたの?さっきからずっとぼーっとして」
授業が終わって、彩音と奈津と集まっていると、呆れ顔の彩音にぽんとおでこを叩かれた。
額に受けた軽い衝撃でハッと我に返る。
「やっぱり、あたし保健室行ってくる」
「は?」
勢いよく立ち上がると、彩音と奈津があたしを見上げて同時に怪訝な顔をした。
「何しに行くの?茅原?」
「柑奈のこと振っといて、いつまでも思わせぶりな態度とる奴のことなんか、もう気にするのやめなよ」
ふたりに止められたけど、やっぱり響が気になる。
「幼なじみとして、様子見に行くんだよ」
そう言うと、彩音と奈津にため息を吐かれた。
でも、この前あたしが体育で倒れたときも、響は幼なじみとして心配して様子見に来てくれたわけだし。
そのお返しだと思えばおかしくない。
おかしくない、はず。
もう一度彩音と奈津に止められたけど、あたしはふたりの制止を無視して保健室に向かった。



