「俺、柑奈のこと好きだよ……」
耳に届いた響の優しい声が、何だかとてもこそばゆい。
うん、響。あたしはいつでも大丈夫だよ。
大丈夫、なのに……
「ごめん、柑奈」
「ん?」
「俺、好きなやついるんだ」
「へ?」
好きなやつ、って……あたしじゃなくて?
愕然として目を開けると、響が重なっていた手をぱっと離した。
「柑奈のこと好きだけど、幼なじみとしてで……それ以上には見れない。ごめんな」
「え?ちょ、ちょっと待って。響の好きなひとって誰?」
「それはちょっと、言えないけど……」
「どうして?同じ学校の子?あたしも知ってる?」
今までずっと一緒にいたのに、そんな素振り見せたことなかったじゃない。
焦って質問攻めにするあたしを、響が困ったように見つめる。
「柑奈も知ってる……かも?ていうか、そいつと今付き合ってる」
「嘘……」