「あ、俺も一緒に戻る」
だけど響は、あたしの後を追いかけてきて隣に並んだ。
「柑奈って、貧血気味だったっけ?ちゃんと朝メシ食ってきた?」
今はひとりにしてほしい。
だけど、響はそんなあたしの気持ちには気づかない。
それどころか、横からあたしの顔を覗き見るようにして心配そうな言葉をかけてくれるから、堪らない。
あたしのこと振ったくせに。彼女だっているくせに。
こんな優しさ、ちっとも嬉しくないよ。
「どうしてそんなに気にかけてくれるの?」
あたしが訊ねると、響が不思議そうに首を傾げた。
「どうしてって、普通だろ。ガキの頃からの仲なんだし」
響は幼なじみとして、普通にあたしのことを心配してくれてるんだ。
その気持ちはすごく嬉しいのに、そこに特別な感情がないことがあたしの心を卑屈にさせた。
「でも、あたし振られた……」
自分で言うのも情けないけど、つい皮肉みたいにそんな言葉を口走ってしまう。



