燿が不機嫌な理由がわからず、首を傾げながらついて歩いていたら、後から追いかけてきた響に呼び止められた。
「柑奈、忘れてる」
立ち止まって振り返るあたしに、響がスクールバッグを押し付けてくる。
そういえば、燿に急に引っ張られたから、荷物のこと忘れてた。
「あ、ありがとう……」
受け取ってお礼を言ったら、そばにいた燿にぐいっと肩を抱き寄せられた。
びっくりして見上げたら、燿が天敵に出会ったときの猛獣みたいな鋭い目付きで響のことを睨んでいた。
「触んな」
燿が響に向けて、威嚇するような低い声を出す。
「今さら俺を警戒してどうすんだよ。ほんと可愛いやつだな、お前」
だけど響は、口元に余裕げな笑みを浮かべながら燿の頭をクシャッと雑に撫でると、あたしたちの横を颯爽と通り過ぎて行ってしまった。
去って行く響の背中を、悔しそうに見つめる燿。
ふてくされたようなその横顔が可愛くて、つい笑ってしまった。



