オレンジ・ドロップ





その日のSHRの直前、ひさしぶりの席替えがあった。

廊下側から2列目、後ろから3番目の新しい席に座っていると、後ろの席に響がやってきた。


「あれ?柑奈、俺の前なんだ?」

後ろの席に座った響が、机に身を乗り出してくる。


「そういえば、席が前後になるのって初めてだね」

話しやすいように椅子を少し後ろに下げて振り返ったら、響があたしの顔を見てにやりと笑った。


「そういえば柑奈。今日、音楽のあとの授業出てなかったけど、何してた?」

「え……」

不意に、音楽室で燿とふたりでいたときのことが思い出されて、恥ずかしくなる。

挙動不審に視線を泳がせたら、それに気付いた響がさらにニヤニヤとした。


「どっかで燿とイチャイチャしてた?」

響が声の大きさも考えずにそんなことを聞いてくるから、慌てふためいて響の額を軽くポカッと殴る。


「す、するわけないでしょ。大きな声で恥ずかしいこと言わないでよ。ここ、教室」

燿を睨みながら、周りに聞かれていないか気になってソワソワと確認する。