「全然。俺、いつも本気だけど?」
軽い口調で笑う燿が俄かに信じられない。
疑いの眼差しを向けていたら、燿がまた顔を近づけてきた。
雰囲気に呑まれて目を閉じたら、燿の唇がそっと瞼に触れる。
「ここ、音楽室だよ」
「別に、誰も見てないよ?」
最後の小さな抵抗を、燿がどうでもよさそうにあっさりと鎮圧する。
もう一度唇を重ねてきたかと思うと、燿があたしを懐柔するかのように甘いキスを何度も重ねて唇を開かせた。
そっと侵入してきた燿の舌先があたしのそれを器用に絡めとる。
そのうち、あたしは抵抗することを放棄してしまっていた。
息苦しくなるくらいの大人なキスに、頭が朦朧として必死で燿にしがみつく。
始業のチャイムが鳴り終えたことも、次の授業のことも、頭からすっかり消え失せてしまって、燿だけでいっぱいになる。
結局、次の授業の終了を告げるチャイムが鳴り始めるまで、あたしは燿から離れられなかった。



