オレンジ・ドロップ



「でも、あたしあんまり成績良くないから、授業の出席で点稼がないと……」

甘い誘惑に流されそうになりながらも、必死に抵抗して首を振る。

だけど燿は、あたしの耳にキスを落としながら、揶揄うように笑っただけだった。


「最悪留年すれば?」

「それは困る。でもそこまで成績ひどくないよ、たぶん」

「いいじゃん、留年。そうすれば、俺ら同級生になれるよ?」

「だから、困るって……」

「そう?同じ教室で柑奈のこと見れるっていうシチュエーション、ちょっと憧れるけど」

「何それ?」

「だって響にはできるけど、俺には一生できないし」

燿が愛おしげにあたしの髪に指を絡ませて梳きながら、切ない表情を浮かべる。

その表情に心を奪われて茫然としていたら、燿が不意にいたずらっ子みたいににやりと笑った。


「今、もうちょっと俺と一緒にいようかなって気になったでしょ?」

「からかったの?」

上目遣いに軽く睨んだら、燿が曖昧に首を傾げた。