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体育の授業中。準備運動のあとに校庭のトラックを走っていると、急に身体がふらついて膝がカクンと折れた。
あれ、っと思ったら、意識が遠くなって視界が真っ白になる。
そのあとすぐに、頭に強い衝撃が走ってまた意識が戻った。
痛い……
「柑奈、大丈夫?」
気づくとあたしは校庭の真ん中あたりで不恰好に倒れていた。
視線をあげると、心配そうな顔をした彩音と奈津が駆け寄ってくるのが見える。
一瞬気を失いかけた気がするけど、地面に頭ぶつけた衝撃で意識が戻ったらしい。
そういえば、響に振られたことで落ち込んで昨日寝不足だ。
なんか、ダサい……
ゆっくり身体を起こすと、あたしの隣にしゃがんだ彩音と奈津が両サイドから顔を覗き込んでくる。
「柑奈、起き上がって平気?」
「どうしたの、貧血?」
「うーん、たぶん。痛いけど……」
おでこの左辺りを押さえていると、体育の先生が駆け寄ってきた。



