オレンジ・ドロップ



燿の胸を押して腕の中からすり抜ける。


「途中まで一緒に行こう」

そう言って笑いかけたら、手首をつかまれて、今度は正面から抱き寄せられた。


「やだ。今会えたばっかだし、まだ一緒にいたい」

ふてくされた子どもみたいな声を出して、燿があたしの首筋に鼻先を埋める。

その言い方と仕草が可愛くて、思わず胸がきゅんとした。

ちょっと、母性本能くすぐられる感じ。

クスッと笑って、顔を伏せている燿の頭をよしよしと撫でる。


「放課後一緒に帰るでしょ?」

今日の放課後は、燿の家に遊びに行く約束をしてる。

昨日レンタルして見たDVDの続きを一緒に見ることになっているのだ。

優しく宥めるようにそう言ったら、燿が顔を起こした。


「柑奈は離れてても平気なんだ?」

不満そうな目でじっと見つめられて、返答に困る。

そりゃぁ、あたしだって。

今が授業の間の休憩時間でなければ。

時間に余裕があれば、燿といたいよ。

でも……

困って燿を見つめ返したら、次の授業の開始を知らせるチャイムが鳴った。