「ちょっ、燿……」
指先が痺れるように熱くなる。
その熱が全身に伝わってくるまでにそう時間はかからなかった。
耳たぶまで真っ赤になったあたしを見て、燿が愉しそうに笑う。
「これから体育だったんだけど、体育館用の上履き忘れちゃって。取りに戻ろうとしてたら、走ってる柑奈のこと見つけたから追いかけてきた」
言われるまで気付かなかったけど、燿は制服ではなくて、体育用のジャージ姿だ。
肘まで袖を捲った燿の腕の片方はあたしを抱きしめていて、もう片方はあたしの手を掴んでいて、どこにも上履きらしきものは見当たらない。
「早くとって戻らないと、授業間に合わなくなるよ?」
そう言ったら、燿が不満そうに小さく頬を膨らませた。
「せっかく来たのに、そんなに追い返したいの?」
「追い返すとかじゃなくて……授業遅刻するよ?」
「いいよ、別に。単位足りてるし」
「そういう問題じゃなくて。あたしも遅刻しちゃうじゃん」



