恐る恐る振り返ろうとしていると、その前になにかが背中からガバッと襲い掛かってきた。
「ひっ……」
思わず悲鳴をあげたあたしを、何かがぎゅーっと抱きしめてくる。
「何びびってんの、柑奈」
ふわりと爽やかな香りが漂ってきて、後ろから近づいてきた何かがクスッと笑う。
「もう、変な登場の仕方しないでよ」
「変な登場なんてしてないけど」
むすっとした顔で振り向いたあたしの額に唇を寄せてきたのは燿だった。
音楽室が無人なのをいいことに、燿があたしを背中から抱きしめたまま、目元や唇の端にチュッ、チュッとキスをしてくる。
「燿、どうしてここにいるの?」
燿の行為にドキドキしながらも、もし誰かが来たらと気が気じゃなくて、色々なところに落ちてくる燿の唇を避けるように、そこに手のひらを押し付ける。
だけど燿は、唇を塞ぐあたしの手をつかまえると、その指先を舐めるみたいにキスをした。



